私が、スイカをがっついている膝元には、甘夏がふっついている。暖かい温もりが伝わる。甘夏は、3歳のトイプードルだ。甘えん坊の甘夏は、いつもからだを寄せてくる。今、そっと手伸ばすと、その柔らかい毛並に触れることが出来る。甘夏の毛並の柔らかさは、何故か赤ちゃんの時からずっと変わらない。
甘夏を撫でていると、手から伝わるその暖かさ柔らかさで、私の心もフワフワになっていくのを感じる。
体循環門脈シャント
甘夏は、3年前、紹介して頂いた知人宅から引き取った。
初めて犬を飼う私は、ほんろうされっぱなしだった。そして、1か月も経つか経たないかの時に、元気がなくなり吐いたり下痢をしたりするようになった。血液検査の結果、ほぼ間違いなく体循環門脈シャントという診断だった。CTを撮らないと確定診断は、できないそうだ。しかし、人間と違って犬の場合は、麻酔をかけないとCTを撮ることができない。甘夏の病気は、麻酔をかけることは、とても危険を伴いともすれば、病気が悪化する可能性があるので簡単に検査することさえできない。
目の前が、真っ白になり獣医師の丁寧な説明も頭に入ってこなかった。
あとで、ネットで調べると本来は、腹部の臓器から流れた血液はすべて肝臓に入り栄養分が吸収され、毒素は解毒される。しかし、生まれつき奇形血管があることにより肝臓を迂回して全身に流れるので肝臓が成長せず、アンモニアなどの毒素が全身に流れる病気だと言うことだった。病気が進むにつれ脳にまで影響が及ぶようだ。肝臓の機能障害で死に至るケースもあると言う。
恐ろしい病気だ。
けれど、病気の本犬である甘夏は、至って元気いっぱいでそんな恐ろしい病気にかかっているとは全く感じさせなかった。
先天性の病気で、完治するには、外科手術しかないと言うことだった。シャント血管が原因となるので、シャント血管を閉鎖する手術をしない限り完治はしない。しかも、難しい手術で成功率も低いという事だった。こんなに元気で走り周っているのに、そんな危険な手術をとても受けさせる気にはなれなかった。
最初は、2ヶ月に1度の検査のたびに、診断は何かの間違いで、データは良くなってるのではないかと期待した。しかし、その度に期待は裏切られ、病気を受け入れざるを得なかった。
そして、徐々に吐いたり、脚が震えたり元気がなくなるなどの症状が出てきた。そこで、アンモニアの生成と吸収を抑える液体の薬二種と肝臓のサプリメントが処方された。
また、肝臓サポート用の処方食を1日45gの少量しか与えることができず、おやつも全く与えることができない厳しい食事制限を強いられることになった。
生き物を飼う以上、病気になったりすることは覚悟の上だった。しかし、先天性の病気というのは、想定外だった。内心、なんでー!とショックを受ける私に、夫は「肝臓専門医の私のところに、肝臓の病気の仔が来た。」と何故か嬉しそうに言った。また「甘夏は、我が家に来て幸せだよ。」とも言った。
でも今思うのは、甘夏が、私たちを幸せにしてくれているのだと…。
ここまで、読んで下さりありがとうございました。
ブログデビューです。もう、ドッキドキです。