あ!お母さんだ。あ母さんが帰って来た!
ワンワンワン‼︎
みんながいつも不思議がるんだ。ドアを開ける前から、どうやってお母さんって判るんだろうかと。
気配かねー。音かねー。匂いかねーって、それはボクだってわからない。でもそんなことどうだっていいんだ。だってお母さんが帰ってきたんだもの!
あれー。遊んでくれないのー。
お母さんはボクにあまりかまってくれないで、すぐ台所へ行っちゃった。
お母さんが、来てくれるまで待ってようっと。
そんな狭いところに入ってとよく言われるんだけど。
分からないのかなあーここが凄く落ち着くのが。
しかも、ここから台所のお母さんの姿が見えるんだよ。
あれーすっごくいい匂い〜。たまらず、ボクは台所に行く。お肉が焼ける匂いだ。
でも、匂いだけ。台所中、探しまわっても落ちてないんだ。
ボクは、病気なのでお肉は厳禁なんだって。
酷いよね。
それに、ボクはいつだってお母さんと一緒にいたいのに、お母さんはお風呂だよーお父さんといてねって、いなくなるんだよ。
ああがっかり。ボクは尻尾を下げながら、トボトボ渋々お父さんの側に行く。
お父さんは、ここへおいでっていつも腕枕してくれるんだ。
その時のお父さんは、いつも嬉しそうなんだ。
おかしいよね、お母さんがいなくなるというのに嬉しそうにするなんて。それでいつもボクは思うんだ。お父さんきっとお母さんが、あんまり好きじゃないんだって。
お母さんまだかなー。
ワーイお母さんがお風呂から出てきた。くんくんいつもの風呂上りの匂いだ。
早速、遊んでもらうぞー!
ほら、お父さんボール投げて!
今度は、お母さん。
わーい。楽しーい。
ボールを投げて欲しい人の側にポンとおくと、投げてもらえるんだ。
だけど、テレビに夢中で気がついてくれない時もあるんだよ。そんな時は、ボールを鼻で押して体にちかづくように転がさないとダメなんだ。
噛むとキューと音が出るボールが、好きなんだ。
1回お母さんが、うしろで手を組んでいた時、手のひらにボールを載せたこともあるんだよ。お母さんはとてもびっくりして甘夏は賢いね、なんて言うんだ。
アレアレ。変だなあ。確かこの辺に飛んで行ったのに。
ボールが見つからないよう。
お父さんとお母さんが、犬なのにって笑ってる。失礼しちゃうよね。犬だっていろいろいるんだからね‼︎
ボクのおもちゃ箱、いや宝箱。
ボクのおもちゃ箱は、高いところにあるんだ。 だから、自由に好きな時におもちゃを出せないんよ。 だけど、大丈夫。
伏せをして、尻尾を振りながらウルウルした目でお母さんを見るとほーら、すぐにとってくれるんだ。
だからボクは、いつも思う。 お母さんは、ちょろいと。
つづく
月に1度のお楽しみマリアージュ・フレール。
今月は、ブッシュドノエル。最高‼︎
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