正式には、東京大学大学院農学生命科学研究科附属動物医療センターと言うらしい。かかりつけ医からの丁寧な説明があり、地図などの資料も頂いた。
甘夏は、PSS(肝門脈体循環シャント)の診療で、大学病院に行くことになった。(詳しくは、このブログの最初の記事ーはじめまして甘夏ですー 参照)すでに、紹介状および検査結果、資料などは事前に大学病院に送付されており、X線検査と超音波検査のディスクを持参して行った。
車で農学部正門から入ってセンター前まで、行くことができる。
今日の診察で、手術が可能かどうか決定することになるので、朝から私はドキドキしている。診察室は3部屋あり、各部屋に2台の診察台がある。
9時の予約で、9時からの受付開始だったので、一番に呼ばれるかと思っていたら、30分以上の待ち時間があった。おそらく9時にお渡しした資料を検討していたのだと思う。
お母さん、どうしてそんなに心配しているの?
(甘夏が不安なのではなくて、いつもと違うお母さんを心配している顔だと娘が言うんですよ。そうかしらね)
待合室です。ピーク時には30名近くの方がいました。
准教授の先生と助手の先生からの診察と丁寧な説明があり、午後に全身麻酔によるCTの検査を受けることになった。また、吐くという症状が門脈シャントからくる症状ではなく、違う原因かも知れないということで内視鏡検査も勧められた。
金銭的なこともあったが、全身麻酔のリスクは1度で済むし、もう疑いはすべて晴らしたかったので両方をお願いした。その時は、判らなかったが、後でそれはとても良い判断であることが判明することとなるのである。
まだお昼前であったが、検査そのものは、時間がかからないが、麻酔に時間がかかるので、4時ごろまた待ち合い室に戻ってくださいとのことだった。
担当の先生お二人とも、とても楽しそうに仕事をしているのが救いだった。
だが、大学病院ということもあり、かなり重篤な動物がきているのだと思う。私の前に座っていた女性は、何度もハンカチで涙を拭いていた。同じ飼い主なので状況を察して心が、痛かった。
受付で、学内のどこのレストランやカフェに入っても良いと、学内マップを頂いた。しかし、何か落ち着かないので私は外に出た。たぶん麻酔の注射が始まったのだろう。甘夏のそれと分かる「キャアーキャアー」という鳴き声に背を向けながら。
沢山のイチョウの樹がありました。葉は、まだ色づいてませんでしたが、道には銀杏がいっぱい落ちていて独特の香りが立ち込めていました。ヌルヌルした潰れた実で、滑りそうになるくらいでした。
私の緊張する心を癒してくれました。
学外の塀も赤煉瓦で趣があります、が。
耐震には弱いようです。
4時い戻れば良いと言われたのだが、心も落ち着かず3時には待合室に戻った。
それも正解で、助手の先生が待合室に来て、もう目は覚めています。もう少しで、はっきりしてくると思うのでお待ち下さいとのことで、検査は何ごともなく終わったようであった。
ただ、やはり病気のせいで覚醒が他の子より遅く、説明は結局5時近くになった。夫は仕事が早く終わる日だったので、5時過ぎに合流する予定だったが、結局先生の説明には間に合わなかった。
驚きのCT検査結果‼︎
いよいよ、その時がきた。私の一番良い想定は、1度で手術ができ完全に病気が治るというものだった。
しかし、結果は私の想像すら出来ないものであった。手術適応外だったのだ。血管の奇形には、間違いないのだが、ひどい異常で本来ある太い血管が1本ないのだという。
先生もこんな症例は初めてだそうである。カラフルなCTの3Dの画像を、動かしながら説明してくれた。
「それで、その異常によってどんなことがおこるのですか?」私は、恐る恐る聞いた。普通の門脈シャントのように本来肝臓で無毒化されるアンモニアなどの毒素が、そのまま身体の血管に流れてしまうそうである。ただ、甘夏は本来あるべき大きな血管を他の血管が上手く補って、3年経つのに大きな症状もなく過ごしてきたのである。
「やはり、寿命は、短いのでしょうね。」これまた、恐々尋ねる私に先生は答えた。
「いいえ。そうとも限りません。普通の寿命を全うできるかも知れません。少し、お薬を変えて血中のアンモニアの量を減らせるように試してみましょう。食事もタンパク質を減らした処方食なら、充分食べてかまいません。他の子よりもたくさん散歩させて筋肉をつけて下さい。」
やったー!私は、心の中で叫んだ。血管異常としては、重症なのだが他の血管が上手く作用するなんて、自然の生命力の偉大さを感じた。
しかも、これで内容は制限されるものの、お腹いっぱい食べられる!このことも嬉しかった。
これも驚きの内視鏡検査結果‼︎
内視鏡検査の結果も、驚きだった。吐き気は門脈シャントのためではなかったのだ。
「異物が胃の中にありました。」先生は、胃から取り出した現物を差し出した。
内視鏡によって取り出された、甘夏の胃の中の異物
「これに覚えはありませんか?」
先生の質問に、私は異物をさわりながら、ひょっとしたら‥‥。ゴムボールではないかと答えた。
小さいボールで、カミカミするとキュウーという音がして甘夏のお気に入りだった。すぐに壊れて音が出なくなるので、今は違うのを与えている。
まさか、飲み込んでいたとは!おそらく空腹もあって、食べてしまったことであろう。もっと気をつけていれば、と自分の不注意が悔やまれた。こんな物が胃の中にあれば、さぞかし気持ち悪くなったことであろう。先生が内視鏡検査もすすめてくれて本当に良かった。
すべてが終わって私のもとに連れてこられた甘夏は、反応があまりなかった。ようやく来てくれたお父さんに抱きかかえられて、帰路についた。結局、朝9時の予約で病院を出たのは、夕方6時近かった。
振り向くと、あのハンカチで涙を拭っていた女性は、まだそこにいた。
農学部の門を入ると、ハチ公と上野英三郎博士の銅像があります。
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