台風の被害に遭われた方へ。
お見舞い申し上げます。1日も早く日常生活を取り戻されるよう、お祈り致します。
強烈な台風が近づいてくると言うので、前日少し多めに食料を購入しようとスーパーに行くと、棚がガラガラで買おうと思っていた物を充分にそろえることが出来ずに帰宅した。
まさか、こんなにスーパーから品物が消えてしまっているとは予想しなかった。大震災の時のことを思い出された。
あの時は、地方にお住まいの友人からお米やら、水やらトイレットペーパーやら送って頂き、助けられた。その時の有り難い気持ちは、忘れられない。
数日家族が食べていける食材はあるので心配はなかった。12日外出しないようにとのアナウンスがある中、医師である夫は、仕事上休む訳には行かずいつものように家を出た。
たぶん、外来患者さんも来ないだろうから、病棟だけみたら早めに帰ると言いながら。
しかし、そんな中でも患者さんは、来院し救急車まで来たので、たやすく帰ることは出来なかった。
風や雨が激しくなるにつれ、夫の帰りを子どもたちと焦るような気持ちで待ち望んだ。
そしてようやく、強風になる直前に、帰宅することができた。ぎりぎりセーフだった。
夫が帰宅すると、どっと安堵の気持ちが心いっぱいに広がった。夫の存在が、こんなに頼りになるのは、日常生活では考えられないことであった。
防災のアナウンスは老人と乳幼児は、避難するように、他の人は避難の準備をするようにと伝えた。
一応、準備はしたが、果たしてすぐ近くの小学校に避難する意味があるのか疑問だった。
近くに川はないし、もし洪水になったとしても住まいのマンションは、避難所の小学校より高い建物である。また、強度もさして変わらないであろう。
木造の建物なら避難した方が、良いであろうが‥‥。
大震災の時は、たくさんの犬が野犬となった。誰も自分のペットが、そうなることを願わない。
テレビの報道では、犬をつれては避難所にはいることは出来なかった多くの事実を伝えていた。
しかも、我が家の甘夏は、病気のせいや私のしつけの悪さもあり、よく吠える。とても避難所につれて行けないと思った。
とりあえず、クローゼットにしまってあった、キャリーバッグを出して組み立てた。
甘夏は、不振そうに近づいて匂いを嗅いだ。
お母さん、避難ってなんですか。
ダメであろうと諦めながら避難所にペットを連れて行けるかどうか調べた。
そうしたら、なんと予想に反して同行できることが判明した。なんと有り難い。
都内でも区によって対応が違っていて、幸い私の住んでいる区は、全部の避難所が同行可能であった。
同行と同伴というのがあり、同伴は、ずっと一緒にいることができるが、同行は連れて避難は出来るが別のところにいなければならない。
本来は、飼い主と同伴できるのが理想だろうけど、甘夏の場合は、吠えて迷惑になるので、人と離れて隔離された方が、安心である。
ただ、身体が弱いので、少しの変化でも体調に異変がこないかが心配である。
同じ都内の避難所でも、ところによってはゲージなどの備品も準備されているところもある。
甘夏の場合は、病気なので処方食でなければ生きていけない。私は、常に処方食を1袋余分に準備している。
以前、被災地の取材で、アレルギーをもった赤ちゃんを抱えたお母さんの大変なご苦労を知った。
避難所では、粉ミルクを支給されていたが、アレルギーがあるため特殊なミルクしか飲めない。何処の避難所を探してもアレルギー用の特殊なミルクは、置いてなかった。
もちろん、人間と動物とでは、比較できないが、甘夏もこの処方食がなければ、危機的状況になるには違いないのだ。
結論的には、私の住んでいる地域では、幸いなんの被害もなく済んだ。
しかし、こんな状況になってから、犬が避難所で受け入れられるかどうかを調べるなんて、我ながら備えがないことを反省させられた。
お母さん、一緒に避難できますか。
〈追記〉千曲川の氾濫
ここに1人暮らしの母を心配して長野に帰省していた友人からのラインの内容を紹介したい。
長野県の千曲川は大変な騒ぎでした。
上田市、長野市では千曲川が決壊して大変な被害が出ています。
私は、千曲市というところに住んでいますが、
この地域では、千曲川の水量がいっぱいになると、水門を閉ざして、
支流の水が千曲川に流れないようにします。
流れでる先を失った水は、当然、地域にあふれ、
農地や住宅も浸水しやすくなります。
そうした被害は、今回もありました。
避難した方も多いです。6万程の人口の市で、5000人近くが避難所で過ごしました。
こういう時は、水門を閉めるのが当たり前としてきた歴史があるようです
育った土地にこのような文化のあったことを知り、驚きました。
今回も多くの方々が、農地家屋などに被害を受けています。
車で5分ほどのスーパーが、浸水でしばらく閉鎖になっていました。
収穫前の作物や家がダメになる事をわかりながら水門を閉める。
主流の川への流れを止める。
そこにあるのは、身を切り守る…思い。
ラインのやり取りの後、電話でも友人と話すことができた。
水門を閉めるのは、主流があふれないように守る意味合いもあるが、逆流して被害がひどくなるのを防ぐ意味もあるそうだ。
各町会で、水門を管理する担当者が決められていて、開閉の判断は委ねられている。話し合いで決めるのではない。
友人の実家のお母さんは、今回水害にあった地域について、「昔からあそこは水がつくのになんで、あそこに家を建てるんだろう。」と思っていたそうだ。
台風が去って、被害の大きさに言葉を失う。
天災と言えども、防げることもある。
何かが狂っている。