キャイ〜ン、キャイ〜ンという、悲鳴に近い鳴き声が病院中に鳴り響いた。
今日は狂犬病の予防注射を受けにきている。先生は、待合室にいる私を気遣って慌てた様子で説明してくれた。
「痛いわけではなく、狂犬病の予防注射は混合ワクチンと違って薬が沁みるだけですからね。」
針を刺した時は、なんともないのだが、薬が身体に入るとあの声がでるのだと。
接種が終わって、抱きしめると甘夏は大きなため息をついた。ホットしたのだと思う。
次の日、保健所の生活衛生課に「飼い犬の注射済交付申請書」と獣医師発行の「狂犬病予防注射済証」を持参して届け出に行った。
どうも、病院と役所は苦手である。玄関を通るとほのかに緊張が走る。
生活衛生課がある階にいくと、凄く混雑していた。
しかし、動物関連の担当者は、来客はなく待つことなくすぐに対応してもらえた。
「督促状が来てたんです。」
お叱りを覚悟で申し出ると、担当の女性は、それには触れず終始にこやかに対応してくれた。
交付手数料550円を支払うと、小さな金属性の狂犬病予防注射済票のプレートが手渡された。本来は首輪につけるよう考案されたものだが、実際にこれを付けている犬にお目にかかったことはない。
担当者に確認してみると、私の住まいの地域では、保健所が直接摂取会場を設けて行うことはしておらず、どこか動物病院に行くしかないそうである。
ホット胸をなでおろして、保健所をあとにした。2度と、こんな失敗はしないと心に思いながら。
予防注射の後、公園に行きました。
たくさんお水を飲みました。
今後の治療について
予防注射の時、今後の治療についても相談した。
甘夏は、3年前に家に来て、すぐに生まれながらの体循環門脈シャントという病気だと診断され、手術以外は完治することはないと言われていた。その時は、その手術は危険を伴う手術なので、見た目には元気な甘夏に、とても危険な手術をする気にはなれなかったのだ。(最初の記事ーはじめまして甘夏です。体循環門脈シャントを参照)
しかし、どんどん薬は増え、データは徐々に悪化していった。
眼を怪我した時も病気のせいで、麻酔をかけることができず失明するかもしれないとまで言われた。
そこで私はようやく、この仔は厳しい食事制限と薬でようやく生きているのだと悟った。
先生には最初からそう説明受けていたのにね。
これ以上の治療は、ここではできないということで、東京大学附属動物医療センターを紹介してもらうことになった。東大に、そんなところがあるとは、知らなかった。さすが、大きな国立大学である。
手術になる可能性が高いにもかかわらず、内科受診なのが意外だった。
もうすぐ2か月に一度の検査に当たるので、まずは紹介先で色々検査したりCTを撮ったりするのだと言う。火曜日、木曜日、金曜日で来月先まで、予約を避けたい都合の悪い日だけをメールする約束をした。帰宅後、さっそく手帳をチェックして、動物病院宛にメールした。
後日、動物病院から返信が届き、2週間後の朝9時に予約がとれたとの知らせがあった。朝より、断食、飲水は可。紹介状は事前にファックス。X線検査や超音波のデータは資料として渡すので、取り来て欲しい旨が書かれていた。
あーいよいよだなー。
順調に治療が、進んで早く完治してくれることを祈るばかりである。
ボクには、お母さんが何を、心配しているかさっぱり分かりません。
分からない方がいいよ。甘夏。